2009年8月17日月曜日

エバンストンへ鉄道で4,000km - 1日目

1ヵ月半を過ごしたスタンフォードを離れ、エバンストンへの移動の日。

普通なら飛行機で飛んでいくのだろうが、今回は鉄道を使って行くことにした。鉄道にしろバスにしろ、私は地を這って行く旅が好きだ。道中、風景の移り変わりやそこに住む人々を間近に感じることができるし、なにより時間をかけて移動するのは長い距離を旅をしているという実感が持てる。

早朝5時半、呼んでおいたタクシーに荷物を載せ、寮の部屋の鍵をハウジング・オフィスのポストに投げ入れて、ひっそりと出発。

シカゴまでは、サンフランシスコからベイブリッジを渡った対岸にあるエメリービル(Emeryville)から、アムトラックのカリフォルニア・ゼファー号(California Zephyr)が1日1便運行している。途中、ロッキー山脈あり、砂漠あり、大平原ありの風光明媚な路線で、総延長は実に4,000km! 乗車時間2日半の汽車旅だ。エメリービルまではサンフランシスコのカルトレイン(ベイエリアの近郊列車)駅から接続バスが出ていて、本来はパロアルトからもカルトレインを利用して乗り継げるのだが、あいにく今日は休日。休日のカルトレインは始発が8時過ぎという閑散ぶりなので、サンフランシスコまでタクシーで行かなければならない。

アメリカの鉄道事情は日本のものとはだいぶ異なる。昔はアメリカ全土に旅客鉄道網が形成されていたらしいが、飛行機や自動車が主な移動手段を占める現在では、長距離旅客列車はほとんど廃止され、前述のアムトラック(Amtrak)という半官半民の会社が物好き用に僅かに運行するのみ。サンフランシスコのような大都市の最寄であるエメリービルでも駅は驚くほど小さい。これでも駅員が居るだけまだいいほうで、ほとんどのアムトラックの駅は駅であることさえ分からないような無人駅なのだ。

ちょっと早く着きすぎたのでエメリービルで時間をつぶし、9時ちょっと前に、今後3日の移動手段であり宿でもある列車に乗り込む。車両はアメリカらしく大型で、座席も相当余裕がある。防人の短い脚では前のフットレストが遠く感じるくらいだ。食堂車やラウンジ・カーというのも連結されている。アムトラックを使っての旅は、9年前初めてアメリカに来たときに鉄道とバスで東半分を一周して以来だが、車両やサービス内容はその時からあまり変わっていないようだ。

 

ゆっくりとエメリービルを発車した列車は、途中カリフォルニアの州都サクラメントやネバダ州の小さなギャンブル・タウンであるリノを越えていく。雄大な山景色を眺めたり、iPhoneのナビに見入ってみたり、食堂車で老夫婦と夕食をしたりしているうちに時間は過ぎ、汽車旅1日目は暮れる。

 

 動画: ラウンジ・カーから山間の景色を望む

 

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